天然水の健康効果

ヒト試験の概要

血中中性脂肪100mg/dL以上またはLDLコレステロール100mg/dL以上の20-70歳の男女を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検平行群間比較試験。
101人(男46、女55、平均年齢47.9±1.2歳)を試験水(日田天領水)50人と対照水(白川水源)51人に振分け、1日2Lを加熱や凍結をせず摂取し12週間継続した。
摂取を開始する前4週間を前観察期間、摂取を終了してから4週間を後観察期間として-4, 0, 4, 8, 12,16週後に、測定と採血を実施した(アディポネクチン、レプチン、8-OHdGは、0,12週後の2回のみ測定)。
「摂取前」(ベースライン)の値は、-4週と0週の平均値とした。「摂取中」の値は、4,8,12週後の平均値とした。

日田天領水は収縮期血圧を下げる!

アウトカム1:血圧

試験水群の収縮期血圧は4,8,12,16週後に有意に低下、対照水群も4,12,16週後に有意に低下したが、群間の有意差はなかった。
ベースラインから摂取中の低下率を群間比較したところ、試験水群(4.4%)は対照水群(2.2%)よりも有意に大きかった。
拡張期血圧に関しては群間の有意差はなかった。

収縮期血圧の低下率

†p<0.05 ※数値は実数

排便回数の群間有意差はなし

アウトカム2:排便回数

対照水群は摂取中に排便回数が有意に増えたが、試験水群は摂取中と摂取後に有意な変化はみられなかった。摂取前から摂取中の増加率を群間比較しても、群間の有意差はなかった。
排便回数が週に7回以下の便秘傾向者35人(試験水n=21、対照水n=14)による層別解析を実施したところ、試験水群と対照水群のいずれも摂取中と摂取後に排便回数が有意に増えたが、群間の差はみられなかった。

LDLコレステロール、総コレステロール、HDLコレステロールの群間有意差はなし

アウトカム3:コレステロール

-4週のLDLコレステロールが120mg/dL以上の82人(n=41ずつ)による層別解析を実施した。
LDLコレステロールに関して、試験水群と対照水群のいずれも4,8,16週後に有意に低下したが、群間の有意差はなかった。
摂取前から摂取中の増加率を群間比較しても、両群の有意差はなかった。
総コレステロールに関して、試験水群は4,8,16週後に、対照水群は4,16週後に有意に低下したが、群間の有意差はなかった。
摂取前から摂取中の増加率についても群間有意差はみられなかった。
HDLコレステロールに関して、試験水群と対照水群のいずれも16週後のみ有意に低下した。群間の有意差はみられなかった。
動脈硬化指数〔(総コレステロール-HDLコレステロール)/HDLコレステロール〕を算出して比較したところ、試験水は4,8週後に有意に低下したが、対照水群は16週後に有意に上昇した。群間の有意差はなかった。
摂取前から摂取中の低下率を比較したところ、群間有意差はみられなかった。

日田天領水は摂取を中断した後も中性脂肪を下げる!

アウトカム4:血中中性脂肪

-4週の血中中性脂肪が100mg/dL以上の51人(試験水n=25、対照水n=26)による層別解析を実施した。
試験水群は4,8,12,16週後に有意に低下し、対照水群は8週後のみ有意に低下した。群間の有意差はなかった。
摂取前から摂取中の増加率を比較したところ、試験水(19.7%)は対照水(4.6%)よりも大幅に増加したが、両群の有意な差はみられなかった。
摂取前を1.0として変化割合を群間比較したところ、4,8,12週後に有意な差はみられなかったが、16週後(摂取を中止して4週後)に試験水は対照水よりも有意に低かった。

中性脂肪の変化

*P<0.5, **p<0.01 vs. baseline †† p<0.01 vs. control ※数値は目分量

日田天領水はレプチンを増加させる!

アウトカム5:アディポネクチン、レプチン

アディポネクチンに関して、試験水群と対照水群のいずれも0週から12週後に有意に増加した。群間の有意差はなかった。
レプチンに関して、試験水群では0週から12週後に有意に増加したが、対照水に有意な変化はみられなかった。
0週から12週後の増加率を群間比較したところ、試験水は対照水よりも有意に増加した。

レプチンの増加率

†† p<0.01 ※数値は目分量

群間の有意差なし

アウトカム6:その他の血液生化学検査項目(副次アウトカム)

肝機能を示す項目、AST、ALT(GPT)、γ-GTPは、試験水群と対照水群とも摂取後に有意に低下したが、群間の有意差はみられなかった。
血糖値が100mg/dL以上の55人(試験水群n=28、対照水群n=27)による層別解析を行ったところ、試験水群と対照水群のいずれの血糖値も摂取後に有意に低下したが、群間の有意差はみられなかった。
HbA1cは試験水群と対照水群のいずれも摂取後に有意に上昇したが、群間の有意差はみられなかった。
尿酸値が5.2mg/dL以上の54人(n=27ずつ)で層別解析を行ったところ、試験水群は摂取後に尿酸値が有意に低下したが、対照水に有意な変化はみられなかった。群間の有意差はなかった。
酸化ストレスマーカーの8-OHdGを評価した。尿中クレアチニン濃度を用いて、8-OHdG/creatinineを比較した。
対照水は12週後に有意に低下したが、試験水に有意な変化はみられず、群間の有意な差もみられなかった。

参考文献

東川史子(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科 臨床評価・分子栄養科学講座)『臨床試験報告書:ミネラルウォーターの摂取が脂質代謝系に及ぼす影響の評価』