美容・健康に水分補給が大切という話をよく耳にしますが、「食事中に水分を取り過ぎると健康に良くない」という話を聞いたことはあるでしょうか?
水は、単にたくさん取ればいいというわけではありません。効率的に水分を補給するには、タイミングも重要です。
今回は、そんな「食事中の水分補給が体に与える影響」について解説していきたいと思います。
食事中に大量の水分補給をするデメリット
結論からお伝えしますと、食事中に水を飲み過ぎるのは健康上よくないと言われています。
理由は大きく2つあります。
【1】咀嚼(そしゃく)の回数が減る
1つ目の理由は、「よく噛まずに食べ物を胃に流し込んでしまうため」です。
昔から、「食べ物はよく噛んで食べなさい」と言われていますが、これにはちゃんと理由があります。
「消化」と聞くと、「胃」というイメージが強いかと思いますが、実は、唾液には消化酵素が含まれています。唾液は、食べ物を噛んでいるときに分泌されるため、水で流し込みながら食事をすると、唾液の分泌が抑えられてしまいます。
また、咀嚼は、脳の満腹中枢を刺激します。ゆっくりよく噛んで食事をとる事で、満足感がわき、食べ過ぎを防いでくれます。そのため、よく噛んで食べる事は、ダイエットにも繋がります。
さらに、唾液は虫歯菌が作る酸を薄める働きがあるため、虫歯予防にもなります。
水で流し込む様な食べ方は、消化・ダイエット・虫歯など、様々なデメリットがあります。食事は、ゆっくり、よく噛んで、水で流し込まないように心がけましょう。
【2】胃酸を薄める
2つ目の理由は、「胃酸を薄め消化が悪くなるため」です。
私たちは食べものを、胃で分泌される胃酸によって消化しています。そのため、食べ物が胃にある状態で水分を大量に摂取すると、胃酸が薄められ消化力が落ちてしまいます。
「胃が痛む」ことはあっても、「胃が疲労している」とはあまり感じないため、気づきにくいですが、胃が活動するためには多くのエネルギーを消費します。
消化がスムーズに行われないと、胃が必要以上にエネルギーを消費します。その結果、体がだるくなったり、眠気を催したりする事もあるので、注意が必要です。
水分補給は食事の約30分前が良い
胃酸を薄めずに水分をとるには、食事の約30分前が水分補給のベストタイミングです。
「バーミンガム大学(イギリス)」の研究では、「食事をとる30分前に500mlの水を飲むと、ダイエット効果を促進してくれる可能性がある」との報告もされています。
消化を高めるためにも、ダイエットのためにも、水分補給は食事の約30分前に行いましょう。
まとめ
食事中の水分の摂取については、賛否両論ありますが、「水はこまめに適量を」という事です。
水は一気に飲んでも効率的に吸収されません。食事中も同様です。食事中に水を飲むべきかどうかは、食事の内容にも左右されます。
水分量が少ない食事であれば、食事と一緒に水分を取った方がいいですし、汁物など水分量が多い食事の場合は、水を控えた方がいいかもしれません。
「食事中に水を飲むか飲まないか」というよりも、「食事の内容に合わせて飲み方を変える」という事が大切です。
参考サイト
バーミンガム大学『A bottle of water before each meal could help in weight reduction, researchers say』